新しいお好み焼きの焼き方?知財ミックス戦略とは。

2021.10.11

この記事のまとめ

イノベーションの意味について、大きな変化が、近年あります。
製品やサービスを、どのようにお客様へ届けるとか、購入した際の特別なサービスが、価値として評価される時代になってきています。
そのため、お客さんが体験した価値を、デザインやブランドとして、意匠や商標などでおさえると、自社に優位な立場を確立できます。
商標や意匠を駆使して、商品名のみならず包装用紙や化粧箱の権利も広く取るのが、知財ミックス戦略です。
知財ミックス戦略を活用し、ブランドを育てて守るために、商品の世界観を知財化しましょう。
ブランドは、その商品の価値を高めるもの全てだと考えていきましょう!

よっしー社長

知財ミックス戦略って知っていますか?

中学生リサ

新しいお好み焼きの焼き方!

新入社員ショウ

食べ物じゃないと思うよ。

よっしー社長

さまざまな知的財産の権利を駆使して、自社のブランドを守る取り組みだね。

中学生リサ

ミックスって、そういうことか!

新入社員ショウ

お好み焼きじゃ、なかったね。

商標や意匠を駆使した、知財ミックス戦略を考えてみよう!

いままで、イノベーションというと、開発した製品を、ロードマップに沿って生産して、その価値をターゲットの顧客へ届けるというものが主流でした。
しかし、最近は、イノベーションの意味について、大きな変化があるようです。
具体的には、顧客が価値を感じるポイントが、購入した製品の技術や品質以外にも多様化してきています。
お客さんが、価値として認識したり評価したりするポイントが、いわゆる製品のモノつくりの他に、体験した価値やブランドなどのサービス的な方向へ移ってきているんですよね。
つまり、製品の技術や品質だけに注力する、いままでの経営方針では、顧客からの評価が小さくなってしまうかもしれません。
その製品やサービスを、どのようにお客様へ届けるとか、購入した際の特別なサービスが、価値として評価される時代になってきました。
もう、良い製品を安く提供するというビジネスモデルでは、通用しなくなってきたんですよね。
でも、製品が良いというのは、普遍的に評価される一番おおきな価値だし、それ以外の価値なんて、そんなに簡単に生み出せないよ、と思いますよね。
そういった価値をご自分の商品に付け加えて、価値自体を大きくしていく工夫が必要なトレンドなんですよね。
ただ単に、良い製品を安くという戦略では、外国の企業から買うよ、と考えられてしまう、そんなマーケット状況なんです。
しかし、難しく考える必要はないと思います。
今ある商品やサービスを中心に、ブランディングしていけば良いのです。
そして、可能であれば、お客さんが体験した価値を、デザインやブランドとして、意匠や商標などでおさえると、自社に優位な立場を確立できます。

商標や意匠を駆使した、知財ミックス戦略。

実際に、このような取り組みをしている企業を見てみましょう。
日本の中小企業で、藤い屋という、九十年以上、伝統のあんづくりをしている和菓子屋さんがあります。
藤い屋本店は、宮島の桟橋から嚴島神社に向かう表参道の中ほどにあるんですね。
店内では、もみじまんじゅうの製造風景を見ることができます。
この会社は、COCONCAという、洋菓子を販売する別ブランドを立ち上げています。
餡子を使った新しいお菓子や、果物を使ったスイーツを、主力のもみじまんじゅうの他に、別ブランドで作っているんですよね。
藤い屋の特徴的な点は、商標や意匠を駆使して、商品名のみならず包装用紙や化粧箱の権利も広く取っている所です。
商品名を28件商標で申請しており、包装に関する商標を4件、そして化粧箱の意匠を2件、申請しています。
つまり、藤い屋は、和菓子という商品本来の価値に加えて、その商品を購入するお客さんが楽しめる商品の包装や化粧箱を価値と捉えているんです。
そして、その価値自体を大きくしていく工夫を、さまざまなブランディングを通じて行っているのです。
お客さんが体験した価値を、デザインやブランドとして、意匠や商標などでおさえてもいて、自社に優位な立場を確立しています。
これにより、嚴島神社の本店以外にも、そごうや伊勢丹、高島屋などの多くのデパートにも出品しています。

商品の世界観を知財化する。

そうは言っても、和菓子から洋菓子へ別ブランドを立ち上げるのは、カンタンに考えられることなんだと思いがちですよね。
ここでのポイントは、ブランドを育てるために、商品の世界観を広げていっている点です。
商品やサービスの拡張を単純に行うのではなくて、商品の世界観を広げていくブランドを作り上げることなんですよね。
そして、ブランドを育てて守るためには、商品の世界観を知財化する徹底ぶりです。
ブランドは、その商品の価値を高めるもの全てだと考えているんですよね。
そうなってくると、ブランドは、社名や商品名のみではなくなります。
藤い屋がおこなっているのは、製品の名称を商標で権利化するだけではなくて、製品を販売する際の包装や化粧箱のデザインを、商標や意匠として権利化してるんですよね。
みなさん、会社名や商品名のみを、商標申請すれば良いと思っていませんか?
実は、商標はさまざまなものを保護できます。
商標の保護対象は、文字や図形、立体的形状等に限られていましたが、平成26年5月に商標の定義が見直されました。
これまで商標として保護することができなかった「動き」「ホログラム」「音」「位置」「色彩」なども商標法の保護対象として認められることとなりました。
こういった新しい保護を、ご自身のビジネスに積極的に取り入れて、ご自分の商品の価値自体を大きくしていく工夫をしていく必要があります。

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