儲かる高付加価値のお仕事 ―特許翻訳の品質とは?-

2021.08.30

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翻訳ビジネスは、知財のお仕事の中でも数少ない儲かるお仕事だと思います。
でも、特許翻訳の品質って、どうやって決まるのでしょうか。
僕は、日本とアメリカの弁理士として、数多くの外国出願に携わってきました。

翻訳の評価は、人によって、会社によって、違う

1990年代に、日本企業の外国出願を社内弁理士としてやっていて、分かったのは、翻訳の評価は、人によって、会社によって大きく異なるんだな、ということです。
すでに、1990年代から、特許専門の特許翻訳者という方たちがいました。
でも、その品質には、ものすごく幅があったんです。

いくつかの品質のレベルがある

もちろん、一定の品質レベルというのはあります。 
たとえば、翻訳抜けとか語訳とかは、言語道断です。
こう言ったミスは、ちゃんと注意していれば、翻訳者であれば防げるものです。

それ以外に、特許翻訳の形式的な品質レベルというのがあります。
特許翻訳の場合は、日本の特許明細書から英語に翻訳する際は、出願する相手国の出願形式を調べて、フォーマットが合うように翻訳します。
特に、アメリカへ出願する際は、請求項の翻訳が、アメリカ特許法のルールに従っていないと、ダメです。
逆に、外国から日本語へ翻訳する際には、日本の特許法のフォーマットに直す必要があります。

でも、これらは、自分でググればわかることですし、わざわざ学校で教えてもらうことでもありません。
もうすでに、古典的な話題なので、ネットを少し触れば、おおよその形式的な品質レベルの情報は、入手できると思います。

特許事務所が喜ぶことをする

さらに、一歩進んで、日本出願する際の形式を、特許庁の電子出願ソフトに対応するように、フォーマットすると、多くの特許事務所は喜ぶでしょう。
このような、最低限の品質を維持できる人は、引き続き、需要があります。

しかし、より高い品質を目指すのであれば、いろいろとさらなる工夫が必要です。
多くのプロ翻訳者の方が、自分なりの工夫をしていると思います。
その中で、私が感心したのは、翻訳をする対象の技術分野の日米の特許公報を、分析するアプローチです。

分析といっても、そんなに難しいことをしているわけではありません。
たとえば、トヨタのウインカー関連の翻訳が来た時には、トヨタがここ数年で出したファミリー特許の中から、日本と英語で出している特許の公開公報を探して、比較しながら読んでいきます。
つまり、出願人の過去の公開公報を、いくつも読んで、どのように翻訳されているかが、学んでいくのです。

カギになるのが、なるべく最近に公開されたものに限定

特許の翻訳は、日本側の知財部や、特許事務所の方が最終的には、チェックします。
しかし、その担当者が変わると、翻訳の品質の尺度も変わるんです。
つまり、特許翻訳の品質って、どうやって決まるか、という問なのですが、答えは日本側の知財部や、特許事務所の担当者によって異なる、でした。

そのため、最近の公報であれば、同じ担当者が絡んでいる可能性が高いので、その人たちがオッケーを出した、ここ最近の翻訳をあえて採用していくことで、その担当者にとっての高い品質を維持できるんです。
こう言うと、特許の翻訳って、実は、正解がないんですよね。
人によって、評価が分かれやすいのです。

ファミリー特許の公開公報は、欧州特許庁のEspasenetから

Espasenetに、出願人の英文名称、あるいは、比較したい出願がわかっているのであれば、日本の公開番号を入れてみれば、そのファミリーの全世界の特許出願が出てきます。

翻訳ビジネスは、知財のお仕事の中でも数少ない儲かるお仕事だと思います。
特許翻訳の品質は、さまざまなレベルがありますので、できるだけ高いレベルの品質が出せるように、準備しておく必要があります。

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