儲かる高付加価値のお仕事 ―アメリカ特許翻訳の勉強法-

2021.08.22

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翻訳ビジネスは、知財のお仕事の中でも数少ない儲かるお仕事ですが、なかなか経験や知識を得るのが難しい業界です。

特許翻訳者って、どうやってなるんでしょうね?

学生時代から、特許翻訳者になりたいっていう人は、あまりあったことがありません。
多くの方は、他の分野の翻訳を経て、最終的に特許翻訳にたどり着いているようです。
あるいは、もともとは特許技術者であった方が、特許翻訳者になったという場合も、そこそこ多いようですね。

では、みなさん、どうやって翻訳者として、お仕事をもらえるくらいになったのでしょうか?
私は、日本とアメリカの弁理士なので、多くの特許翻訳者の方と仕事をしています。
結構、昔からお仕事を一緒にされている方の中には、独学で勉強をした方が多いです。

学校も資格もない?

いまのように、通信講座や座学のスクールは、昔は、本当、なかったんですよね。
また、知的財産翻訳検定のような制度もなかったんですよね、こういった知財関係の制度は、本当に最近できたものなんです。
そのため、翻訳をする対象の技術分野の日米の特許公報を、ひたすら比較して読んでいったそうです。

たとえば、トヨタのウインカー関連の翻訳が来た時には、トヨタがここ数年で出したファミリー特許の中から、日本と英語で出している特許の公開公報を探して、比較しながら読んでいったそうです。
つまり、出願人の過去の公開公報を、いくつも読んで、どのように翻訳されているかが、学んでいけるんですよね。

実は、正解がない

この話を聞いて、プロ翻訳者の方に、どうして最近のものに限定するのですか、と訪ねたのですが回答が、結構、面白かったです。
特許の翻訳は、日本側の知財部や、特許事務所の方が最終的には、チェックするんですが、その担当者が変わると、翻訳の品質の尺度も変わるんだそうです。

つまり、最近の公報であれば、同じ担当者が絡んでいる可能性が高いので、その人たちがオッケーを出した、ここ最近の翻訳をあえて採用していくことで、修正などの工程が省けるんだそうですね。

さすが、プロだな~と思いました。
特許の翻訳って、実は、正解がないんですよね。
人によって、評価が分かれやすいのです。

ファミリー特許の公開公報は、欧州特許庁のEspasenetから、簡単に手に入ります。
Espasenetに、出願人の英文名称、あるいは、比較したい出願がわかっているのであれば、日本の公開番号を入れてみれば、そのファミリーの全世界の特許出願が出てきます。

いまは、始めやすい環境に

ここで、もう経験のある、プロの人たちはよいけれども、これから勉強しようと思っている人はどうすればいいんですか、っていう質問もあるかと思います。
僕が思うのは、知的財産翻訳検定などの資格を、まず取ったら、翻訳会社のトライアルを受けつつ、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングでの副業サイトで、市場調査をしてみてはどうでしょうか?

さらに、ご自分の得意な技術分野を、いくつか選んで、その中で出願件数が多い会社の特許を、Espasenetで探して比較して見るのもよいかと思います。
特許翻訳の場合は、経験が少ないうちは、いろいろな技術分野に手を出さずに、マーケットリサーチしつつ、得意な分野を決める必要があります。
分野をいくつか決めたら、その分野の特許を比較しつつ、読んでいくのです。

可能であれば、いくつかパターンを分析も!

特許の翻訳は、実は決まったパターンが、何度も出てくるのです。
しかも、それは、会社によって、原文の日本語の明細書の書き方に影響されます。
そのため、ある会社のパターンを、すべての会社の特許翻訳には、あてはめることはできません。

そして、もし、翻訳会社のトライアルに受かって仕事が来れば、その分野を同じように勉強したらよいと思います。
また、最近は、トライアルに受かっても、そんなにすぐには仕事が来ないので、副業サイトで、市場調査をしている最中に、できそうな案件があれば、ドシドシ受けていくのも良いと思います。

注意したいのは、経験不足を補えるための資格などがないと、副業サイトで受任できる可能性は低いかもしれません。
過去に翻訳したものがあれば、それを参考として、もれなく上げた方が良いでしょうね。
そのため、何かしらの資格を準備しつつ、特許翻訳の勉強を続ける必要があります。

いきなり、数十万円の売り上げを上げるのは難しい

翻訳ビジネスは、知財のお仕事の中でも数少ない儲かるお仕事ですが、なかなか経験や知識を得るのが難しい業界です。
単に、勉強するだけではなくて、市場調査などを組み合わせながら、効率的に経験や知識を得ていく必要があります。

いきなり、月で数十万円の売り上げを上げるのは、難しいでしょうから、まずは、少しづつ始めて、そのうちに自分にあった発注元と巡り合えるようにしていくのが、やはり一般的のようです。

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