アメリカ出願の費用削減を実現! インコーポレーション・バイ・レファレンスを、利用しよう。
2021.07.10
インコーポレーション・バイ・レファレンスっていうのは、我々はIBRと呼んでいますが、要はアメリカ特許出願の明細書のなかでする、参照による援用のことなんです。
参照による援用というのは、他の特許出願の番号の参照をもって、その出願の記載内容を組み込むという宣言なんですよね。
実は、日本の出願人の間では、あまり知られていません。
このIBRを使うとよい点が、実は2つあるんです。
IBRを使えば、記載不備の拒絶理由を解消することができる
ひとつ目は、もし、アメリカの拒絶理由で、記載が十分で無いと拒絶された場合でも、このIBRを使えば、その拒絶理由を解消することができる点です。
アメリカでは、発明の記載が十分ではなくて、発明の内容が理解できない場合は、記載不備として拒絶理由が出ます。
結構、この拒絶理由は、アメリカの審査官から出されることが多いんですよね。
そういった場合に、IBRで組み込んだ他の出願の記載内容を説明することで、クリアすることができるんですよね。
なので、他の人が一生懸命、説明してくれた内容を、自分の発明の内容として利用することができるんです。
参照する検討をしている内に、意図しないメリットも
また、よくあるのが、他の人の出願を見ていて、自分の発明と組み合わせちゃんですよね。
2つのアイディアを合体して、全く別の発明をしてしまうなんてこともよくあります。
ですから、同じような他の人の出願内容を参考にするのは、良いことばっかりなんです。
この点を、知らないで、自分の出願の中だけで、全部を説明しようとするケースが、ありますので注意しましょう。
人の発明の良いとことをうまく取り込むことが、現在の特許出願では要求されるんですよね。
今の時代で、全く新しい斬新なアイディアというのは、なかなか無いんですよね。
どんな重要な発明でも、すでに誰かが同じようなアイディアを考えていて、その内容を利用することから生まれているんです。
外国の出願費用を大幅に削減できる!
メリットの二つ目は、外国の出願費用を大幅に削減できる点です。
実は、アメリカへ出願する際に、日本語で作成された出願原稿を、英語に翻訳しなければなりません。
日本語で出願できるのは、実は日本だけなんですよね。
ですから、全ての出願原稿を英語に翻訳しなければなりません。
実は、この翻訳費用って、アメリカ出願の初期コストの1/3くらいを占めてしまうんですよね。
例えば、アメリカの特許出願をするのに、初期コストとして60万円くらいかかったとします。
そのうちの20万円は、翻訳費用なんですよね。
そして、翻訳費用のほとんどが、明細書の翻訳費用です。
つまり、ベースになる発明の説明を、IBRで済ましてしまえる場合、明細書の翻訳費用がとても安くなるんです。
でも、注意すべき点も
でも、一つ注意しなければいけないのが、すでに出願した日本出願がある場合です。
この場合、日本の出願に基づいて、優先権を主張して、アメリカ出願を申請します。
そして、元になる日本語の明細書の内容にのみ、アメリカ出願の優先権は使えるんですね。
後から追加した新しい内容は、日本出願の時点まで遡ることができないんです。
下手をしたら、優先権そのものが否認されてしまう場合もあります。
ですから、あまり、大幅な変更をアメリカ出願の際に、明細書に加えてしまうと、危険なんですよね。
結局のところ、日本出願の記載内容を、アメリカの出願内容に対応するように、最初から作り込むことが必要になってきます。
日本出願の時から準備しましょう!
日本特許法でも普通に使われるやり方なので、日本出願時から採用しましょう
日本出願を担当する弁理士の方に、他の特許出願の番号の参照をもって、その出願の記載内容に替えたいと伝えて、背景技術の説明をコンパクトにするようにすべきです。
他の特許出願の番号の参照は、日本特許法でも普通に使われますので、なるべく多くの背景技術をうまく利用するようにお願いしましょう。
また、その際に、アメリカ出願する予定があるから、なるべく多くの図面を準備するようにも、日本出願を行う弁理士さんにお願いしましょう。
このIBRは、明細書の正式な記載項目では無いので、記載する位置は決まっていません。
そのため、明細書の冒頭に記載することでも良いですし、明細書の終わりに記載することでも構いません。
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