社長がやろう、知財には経営感覚が必要です。「知財部門・担当を作らないのがむしろ良い?」

2021.06.22

画像の引用元はこちら

昔から、会社の知財を強くするのも、弱くするのも、社長次第だと思っています。
知財は複雑で難しいから、専門家に丸投げや、担当者にまかせっきりという経営者も多いですよね。
もう知財部門・担当を作らないで、社長が先頭に立ってやるという方が、中小企業ではうまくいくかもしれません。

アイディアとか、ブランドとかが、事業の価値の9割を占める時代

経済産業省が国立大学と企業の持続的な成長に関して、調査したレポートのデータがあります。
企業価値ってありますよね、よく企業価値を高める、という言葉と耳にします。
この企業価値は、株式の価値を表す時価総額とは、異なります。
企業価値というのは、いろいろな定義があるのですが、重要な考え方の一つとしては、事業の価値を表すものがあります。
つまり、みなさんの事業の値段です。

経済産業省が国立大学が調査したレポートでは、その企業価値に無形資産が占める割合が、ものすごいスピードで上昇しています。
無形資産というのは、目に見えない価値のことで、これが事業の値段の内訳としてものすごく増えているんです。
無形資産は、製造設備や在庫などとは異なる、アイディアとか、ブランドとか、コネクション、ノウハウのようなものを指します。

つまり、いまの時代では、多くの製造設備を持ったり、大量の在庫を抱えるのは、事業の価値を低くしてしまうんですね。
一方で、アイディアとか、ブランドが、事業の価値の9割を占めるという結果になっています。

無形資産が企業価値に与える影響が、この30年で3倍になっている

いまから30年前は、無形資産の企業価値の占める割合は、3割くらいだったんですね。
もう無形資産が企業価値に与える影響が、3倍になっているんですよね。
もう企業価値の9割が無形資産だというのが、平均値になっているというのが、先ほどの経産省と国立大学の調査で分かってきています。
最近のビジネス状況は、モノを持つよりかは、目に見えない信用を持っている方が、価値があるんですね。

でも、そんな目に見えないものなんて、どうやって作ったら良いかわからないという方が多いと思います。
信用って失うのはカンタンって言いますが、信用を得るのは大変って聞きますよね。
でも、ビジネスで信用を得るやり方にはいろいろあるんです。
その一つが、知的財産を持つということになります。

知財創成や戦略には、経営層が関与しないとダメ

このように考えると、企業の信用を高める、知財創成や戦略には、経営層が関与しないと、上手く信用を高められません。
知財を強くするのも、弱くするのも、社長次第なんです。
むしろ、知財部門・担当を作らないと言った、アプローチがトップダウンで、上手くいくことが多いです。
社長が先頭に立って、社員全員が知財担当というくらいの組織の方が、企業価値を高めることができるんです。

知財には経営感覚が必要です。
社長が先頭に立ってやりましょう!
知財部門・担当を、わざわざ作る必要は、ないかもしれませんよ。

知財部門・担当を作らずに、知的財産の活動をしている会社もある

では、実際に、このような取り組みをしている企業を見てみましょう。
日本の中小企業で、オプティムという2000年に起業した、350名ほどのIT企業があります。
この会社は、WIFIスポットに接続した場合に、自動的に施設情報やクーポンなどの情報を配信する特許を持っています。
また、ドローン関係に関しても、国内トップ10に入る特許出願件数を誇っています。
日本のみならず、米国に200件、中国に50件、ヨーロッパに10件以上の特許出願をしています。

このオプティムという会社が行っていることは、知財部門・担当を作らずに、社長が先頭に立って、知的財産の活動をしていることなんです。
社員全員が知財担当という、アプローチで企業価値を高めています。
社長が、直接、知財の活動の先頭に立っているので、判断のスピードが極めて早いのと、部下の知財に関する意識が総じて高くなります。

物つくりの活発な日本は、知財が上手く機能しなかった

知財の活動というのは、モノを製造する会社としては、補助的な仕事なんですよね。
ですから、昔から物つくりの活発な日本では、上手く機能しませんでした。
しかし、今の時代は、モノを作ることから、信用やブランドを作ることが企業の価値を上げていきます。
このような時代では、知的財産を経営戦略に組み込んでいかないと、なかなか信用やブランドが築けません。

このオプティムという会社のホームページを見てもらうと、どれだけ本気で知財に取り組んでいるかが、すぐにわかります。
社長が先頭に立って、知的財産の活動をしていないと、このようにならないんですよね。

いくらでもある、コストを削減しながら、知財の権利を取得していく方法

費用的にこれほど多くの特許を申請する体力なんて、うちには無いよ、ということも、もちろんあるかと思います。
いきなり、アメリカや中国に特許を申請する必要はありません。
費用的に1/5、あるいは1/10で済む、意匠や商標の申請で、はじめは十分だと思います。
そして、知的財産の価値を実感してから、少しづつ増やしていけばよいのです。

たとえば、特許の申請に50万円掛かるとしたら、その1/5の費用で意匠の申請ができます。
また、特許の1/10の費用で商標の申請ができます。
また、外国に申請するのでしたら、実用新案も、国によっては十分機能します。
中国などでは、実用新案は、特許の半分の価格で、ほぼ同じ保護を受けることができます。
登録になった後の権利の行使に関しても、特許と遜色はありません。

特許しか知らない日本企業

日本企業は、特許に偏り過ぎで、知的財産の使い方が上手くありません。
つまり、コストを削減しながら、知財の権利を取得していく方法は、いくらでもあるのです。
残念ながら、このような情報を、皆さんは知らないだけなんですよね。
これは大企業ほどそうなんです。
中小企業は、社長が、このような情報を収集して、さっさと決断して、進めていきましょう。

知財部門・担当を作らずに、社長が先頭に立って、知的財産の活動をしてみては如何でしょうか?
社員全員が知財担当という、アプローチの方が、企業価値をよりスピーディーに高めていけます。

御社の製品を、
海外の悪質なパクリから守ります。

お問い合わせはこちら

お問い合わせはこちら