中国のプロパテント政策が始まった!
2021.03.15
中国は、いまプロパテント政策に踏み切ろうとしています。
この間、発表された2021年2月の習近平主席の「知的財産権保護活動の全面的な強化」の宣言により、中国のプロパテント政策の内容が明らかになりました。
これにより、日本よりも、さらに進んだ知財保護に、中国は向かおうとしています。
すさまじい今回の中国の知財の法改正
知財保護の全面的な強化として、先ずは侵害に対する懲罰的な損害の賠償を認めることとなりました。
懲罰的な損害の賠償は、日本では認められていませんが、英国法の民事訴訟法では、一般的な概念です。
通常の侵害ではなく、意図的に侵害を行った場合は、最大で3倍まで、損害の賠償金額を増加させることができます。
この法理は、アメリカや他のコモンローを、英国から引き継いだ国では、用いられているんですよね。
特に、知財の分野では、会社対会社の訴訟になることも多く、企業活動による損害額は大きくなるのが一般的です。
それがさらに、3倍まで増やすことができるので、知財関係者の間では、とても恐ろしいルールでした。
日本は、90年代以降、この3倍賠償金のルールに苦しめられたんですね。
この内容が、さらにすさまじいのが、今回の中国の知財の法改正の特徴です。
何と、最大5倍まで、損害の賠償金額を増やすことができるのです(反不正当競争法 第 17 条第 3 項)。
具体的には、「経営者が商業秘密の侵害行為を悪意で実施し、情状が深刻である場合、確定した額の1倍以上5倍以下で賠償額を確定することができる。賠償額は、権利侵害行為を制止するために権利者が支払った合理的な支出を含むべきである。」と規定しています。
ここで、「悪意」というのは「知っていて」という意味です。
つまり、侵害している者がその侵害行為を知っていて、かつ、深刻である場合に、懲罰的損害賠償が適用されるんですね。
この「深刻である場合」というのは、どのような場合になるかは、今後の判例を通じて、分かっていくこととなります。
損害賠償金の高額化が顕著になった中国
そうはいっても、単なるリップサービス的な宣伝で、実際に適用された判例があるかは、現在の制度ではオープンになっていないじゃないですか、どうやって確認すれば良いんですか、という声もあるでしょう。
これに対して、中国は、2021 年 2 月 24 日から、裁判判例などもデータベースを使って、公開が開始になりました(https://flk.npc.gov.cn)。
このデータベースは、憲法と275の法律関連の判例を収録しています。
法律解釈 や重大問題に関する決定や司法解釈も収録されています。
WeChatからもアクセスできるんですよね。
便利になってきました!
そして、実際の知財系の判決でも、損害賠償金の高額化が顕著になってきました。
中国史上最高の 1.59 億人民元の賠償(26億円!)の損害賠償命令が、2 月 26 日に最高人民法院から出ました。
当事者は、嘉興市中華化工と王龍集団の間の営業秘密を侵害する案件でした。
中国というと、営業秘密や技術内容を盗用するというイメージがありましたが、どうやら潮目が変わってきたようです。
また、2021 年 2 月 2 日、TikTok 社は北京の知財高裁に正式に訴状を提出し、Tencent社を提訴しました。
これは 中国内で初めてのインターネットプラットフォーム間の独占禁止訴訟です。
この裁判で、TikTok 社の主張では、経済損失と合理的な費用 9000 万人民元(15億円!)を賠償するよう求めています。
中国国内訴訟も高額化してきましたよね~
中国は、いまプロパテント政策に踏み切ろうとしています。
習近平主席の「知的財産権保護活動の全面的な強化」の宣言により、中国のプロパテント政策の方向性は、もう止まりません。
これにより、日本よりも、さらに進んだ知財保護に、中国は向かおうとしています。
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